今井相談役 経済産業大臣賞受賞インタビュー

お知らせ

今井相談役(前会長)が2024年11月5日、日本中小企業診断士協会連合会の創立70周年記念式典において「経済産業大臣賞」を受賞され表彰されました。
このたびは、会員の皆さんに受賞を共有するとともに、今井相談役にインタビューをし、会長時代を振り返っていただきました。(インタビュアー:桂川)


桂川:今井相談役、この度は「経済産業大臣賞」受賞おめでとうございます。

今井:ありがとうございます。千葉県支部を含めて理事を25年、うち会長8年、本部理事10年等の活動が評価されてのものと思います。ただ、これらの活動は理事の皆さまや会員の方々に支えられて初めて成り立っているのであり、私個人が受賞したとは思っていません。

桂川:そうはいっても今井相談役のリーダーシップのおかげで千葉県協会がここまで成長できたと会員の皆さんが感じているのではないでしょうか?今一度経済産業大臣賞受賞を振り返ってどのあたりが評価されたのでしょうか?

今井:診断士になった当初は東京支部に所属していましたが、平成7年に独立してすぐ千葉県支部に移り、大塚先生はじめ先輩方にいろいろお世話になりました。平成11年から協会理事になり、それから数えて丸25年、会長を4期8年、副支部長と副会長も計3期6年やりました。また、連合会本部の理事は会長時代の4期8年とプラス1期2年、今年で終了しましたが、合わせて5期10年やりました。その間、広報委員、広報委員長も務めさせていただき、これらが評価されたのだと思います。あとはBプロジェクト(認定支援機関としての経営改善計画策定支援事業/405事業)もあるのではないでしょうか。Bプロジェクトは連合会としてもすごく評価してくれていて、10年ぐらい前になりますが、当時の野口専務と一緒に中小企業庁の経営支援課長初め3人ぐらいに取組内容を説明に行った思い出があります。そういったものも連合会で評価され、受賞につながったと思います。
ただ何回も言うように、私個人が受賞したっていう認識よりも、桂川さんをはじめ皆さんが千葉県協会のためにボランティアを一生懸命やってくれて、その束ね役的なことは会長時代にしてきたんですけどね。だから皆さんを代表して表彰されたような感じでしか捉えてないんですよね。だからこそ今後も千葉県協会の発展のために微力ながら引き続き貢献したいと思っています。

桂川:ありがとうございます。会長時代の4期8年を振り返ってどんなことが今思い出されますか?

今井:平成26年5月27日の定時社員総会で会長就任あいさつを行った際、①協会運営にあたっての体制整備②連携体制の強化③協会のレベルアップの3つの観点で協会運営に努めたいと表明しました。振り返りもその3点でしていきたいと思います。

【①協会運営にあたっての体制整備】

今井:会長就任当初は協会内部も混とんとした時代でした。あの混とんとした状態で、自分の仕事も忙しいのに協会のためにこれ以上のボランティアをやったら経済的に破綻してしまうと思いやりたくなかったんですが、やらざるを得ない状況となり受けてしまいました。思い返してみると、今は立派な事務局がありますけど、私が会長になったときは中央会で机を二つほど借りて、会長席なんて元々ないし、当時パートの事務員さん二人からのスタートでした。その後、事務員さんの正社員化とパート事務員さんの充実、常勤役員の設置、事務局の独立など、協会の財務状況に合わせて少しずつ事務局を充実させていきました。また、コンプライアンスについても、(弁護士である)本田先生に理事になっていただき、専門家の意見とか当時の髙岡専務、髙橋総務部長をはじめ皆さん方でいろいろ検討してもらい、規程などの最低限の決まり事に則った組織運営ができるようになりました。現在はコンプライアンス上もそれ程大きい問題はなくなり、協会運営体制の基礎は作れたんじゃないかと思います。

【②連携体制の強化】

今井:連携は内部の連携と外部の連携があると思いますが、まずは内部の連携から。特筆すべきは研修部委員制度の創設ですね。茂木副会長(研修部長)が始められたのですが、今では会員支援部、広報部にも委員制度が広がっています。次世代のリーダーを育成する委員制度の効果が発揮され、協会活動は年々充実してきています。また、委員制度で育った方たちが実際に理事に就任してきています。企業内の方も含めていろいろ活躍される方も増えているし、イベントも増えているし、人材育成のいい流れの基礎が作れていると思います。
外部との連携に関しては、事業部から地域振興部(各支援機関との連携)と経営支援部(各金融機関との連携)へと組織的拡充を図り、合わせて営業部の月1回の営業会議によるPDCAサイクルの確立を行ってきました。コロナ禍でもWebで継続してやってきましたが、結果から言うと、コロナ禍によって窓口相談事業や補助金申請支援事業など、外部環境の急激な変化に対応することにより職域がさらに拡大されました。
現在も各支援機関や各金融機関との連携強化による職域が拡大していますが、私の会長時代に営業部の皆さんのご協力によってある程度の基礎固めができたのではないかと思います。

桂川:営業会議のしくみは今井会長時代に作られたんですか?

今井:私が会長になる前には事業部があって、当時理事25名のうち、3~4名くらいしか事業部にはいなかったのです。そのうち動ける営業部員としては石井さん(現会長)ぐらいしかいなかったんですね。それもどちらかというと受身の営業体制であり、Bプロが始まる前は100万円も事業収益がなかったのではないでしょうか。Bプロは私が会長になる前に石井会長と茂木副会長の3人が中心となり、伊藤監事をはじめとする専門分野をお持ちの仲間が協力して立ち上げた事業です。金融機関との連携を強化して広がったBプロは、現在のあらゆる協会事業の根幹になってきていると思います。話を戻しますと、動ける営業部員が実質1人の営業体制から、営業部を地域振興部と経営支援部の2部制にし、さらに11部あった組織の集約化により動ける営業部員8名に人数も増員させました。そして、当時は○○商工会議所はだれだれ先生が、○○商工会はこれこれ先生が、といった診断士と支援機関の担当者の個対個の職域関係が多かったのですが、「何か困ったことがあれば千葉県協会に」といった未来永劫続く組織対組織の関係構築が必要であるとの考えから、営業部員全員に担当の支援機関や金融機関を割り当てました。各担当者の営業活動の進捗管理のために始めたのが月1回の営業会議です。営業会議によってPDCAを回し、目標や狙いを持って活動すれば当然のことながら結果は出ますよね。優秀な人たちですから。それが今につながっていると思います。

【③協会のレベルアップ】

今井:千葉県協会が清々と発展していくために、また会員の皆さまが活躍する場面を増やすには品質の向上と会員の増強が必要だと思いました。協会が行う受託事業については、品質保証の観点から、残念ながら会員誰でも平等に機会を得ることはありません。事業としてふさわしい会員にご担当いただき、対象企業をはじめ、連携する支援機関、金融機関等の信頼を得ることが、千葉県協会の発展につながります。結果として、会員の皆さまのメリットにつながると会長就任時より確信していました。そのため収益事業における勉強会の実施やサブ担当制の導入、研究会活動におけるレベルアップに向けた活動など、会員の皆さまの品質向上に努め、担当者として任せてもらえるように、レベルアップのしくみを作ってきました。また、セミナー講師の育成・発掘のため、「セミナー講師養成講座」や「セミナー講師発掘プレゼン大会」なども理事にお願いして新たに企画しました。これらも現在続いており、会員の皆さんのレベルアップや職域拡大に少なからず寄与していると感じています。

桂川:あと私もそうなんですけれども今井先生に実務補習で教えていただいた人がたくさんいると思うんですけど何人ぐらいいらっしゃいますか。

今井:どうですかね。7月~9月と2月~3月に大体1回5人チームとして1年で10人だとしたら、約15年で150人ぐらいは教えていますね。今の理事でも半分近くはいるんじゃないでしょうか。ただ、残念ですが、全ての方が千葉県協会にご入会いただいているわけではありませんが。

桂川:今井先生のイズムっていうのを最初にたたき込んでいただいたことは良かったなと思って、そういう人が千葉協会にはたくさんいらっしゃるんですね。自分の師匠が今回経済産業大臣賞という素晴らしい賞をいただいたってのはすごく本当に喜びなんですよ。

今井:そうおっしゃっていただいて嬉しいですけどね。やっぱり教え子だっていう感覚は私もあってね。

桂川:千葉商大の卒業生も含めると結構な人数になると思うんですよね。

今井:そうですね。企業診断の指導員をやらせていただいた方っていうのは、やっぱり関係が深いかなっていうのは感じますね。私が指導員だと、受講される方は大変かもしれないですけが、せっかく診断士の資格を取るんだったらっていうことで、こちらも真剣に一生懸命やっています。

桂川:最初にそれを教えていただくっていうのは大事なことだなと思います。今でもその当時のメンバーで話をするとやっぱり厳しかったという話は今でも出ますね。

桂川:次の70周年に向けてです。あえて今の体制に対して物申すじゃないですけど、こういうふうになって欲しいとか、こういうふうにしてほしいとかはありますか。

今井:今新しい理事の方も入って、いろいろな意見とか企画とかも出してもらっています。あと理事以外からの意見、今回石井会長が定款変更に伴ってアンケートを取ったわけですが、すごく良かったと思うし、あれから新しいイベントも創出されていると思うんです。時代の流れに沿った形で協会が成長をしてるなって感じています。中小企業の皆さま方に我々が常日頃言ってるように、我々の組織自体が環境変化に柔軟に対応して、今の時代に適合する、会員からも外からも評価される組織であり続けるよう努力することが重要だと思います。石井体制になって、新しい課題を持ちながらしっかりと前に進んでいると思うので、今の状態で進んでいってほしいですね。その中で、自分が少しでも役立つところがあればお手伝いしたいなと思います

桂川:最後に千葉県協会の会員に向けてメッセージをお願いします。

今井:人生においてはそれぞれのタイミングっていうのがあると思うので、今現在、協会活動に参加できている人もいれば、なかなか参加できてない方もいらっしゃると思います。ただ人生100年時代、健康であればいくらでもその診断士の資格を生かした自分の成長につながる仕事っていうのは、やろうと思えば実現できると思います。そういった面では、今参加できている方はそのまま一生懸命頑張ってほしいですし、今そういうタイミングではなく、なかなか参加できない人も、ゆくゆくは自分のタイミングで千葉県協会に積極的にアプローチしてもらって、自分の人生をより豊かなものに是非してほしいですね。診断士としての仕事は、社長さんに「ありがとう」とお礼を言ってもらえる仕事です。そういった仕事を定年がなくできるし、自分の努力次第でそう言っていただく機会も増えます。いずれにしても、千葉県協会とつながっていってほしいですし、うまく活用していってほしいと思います。

桂川:今井相談役、ありがとうございました。

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